結論

顧客満足度が高いことと、客が増えることは別の話です。

良い商品を提供して満足してもらうのは、事業として当たり前の前提です。前提を満たしただけでは次は起きません。満足した客が黙って離れていくことは普通に起こります。

必要なのは、満足の先にある3つの打ち手です。ただし、以前から知られている打ち手のうち2つは、今のルールではそのまま使えません。何が変わったかを含めて整理します。

認めるべき3つの前提

打ち手の前に、次の3つを事実として受け入れる必要があります。感情的には受け入れがたいものですが、ここを認めないと施策が組めません。

前提何が起きるか
満足しただけでは口コミしない良い体験をしても、わざわざ投稿する人はごく一部
良い商品でも忘れる数週間で他の情報に埋もれ、店名も思い出せなくなる
すぐ他に移る目の前に別の選択肢が出れば、比較して移る

この3つは「サービスが悪いから起きる」のではなく、満足していても起きます。

打ち手1: 口コミは「頼まないと起きない」

満足しても口コミは起きないので、こちらから依頼することになります。依頼すること自体は問題ありません。Googleもビジネスオーナー向けに依頼のヒントを公開しています。

問題は依頼の方法です。以前は「強制的にシェアさせて、シェアしたらプレゼント」という形が広く使われていました。これは今は使えません。

  • Googleの口コミ: 特典と引き換えの投稿はポリシーで禁止されています。満足した人だけを選んで依頼することも禁止です
  • SNSなどでの紹介: 便益を渡すこと自体は禁止ではありませんが、2023年10月以降、事業者が依頼・提供したのに広告と分からない投稿は景品表示法違反になります

代わりにやること

  1. 来店客全員に同じ案内をする。満足度で相手を選ばない(選別はポリシー違反)
  2. 投稿の手間を減らす。口コミ投稿の直接URLをQRコードにして店頭・レシートに置く
  3. 投稿されたら返信する。返信があると、次に投稿を考える人が「読んでもらえる」と分かる

依頼してよい範囲の線引きは口コミをお願いしてよい範囲に、返信の決め方はGoogleの口コミに返信する前に決めておくことにまとめています。

なお、誰に紹介を相談するかを絞る方法はあります。購入者に推奨度を0〜10で聞き、9〜10と答えた人にだけ相談する形です。ただしこの絞り込みは、Google口コミの依頼には使えません(選別に当たるため)。詳しくはアンバサダーマーケティングの始め方を確認してください。

打ち手2: 忘れられる前に、決めた間隔で接触する

人は忘れます。だから接触の間隔をあらかじめ決めて、仕組みで送ることになります。

よく「3日後・7日後・14日後・1か月後」といった間隔が紹介されます。これは経験則として広まったもので、業種や単価によって適切な間隔は変わります。そのまま使うのではなく、次の順で自店の間隔を決めてください。

  1. まず1回だけ決める。「来店から7日後に1通」のように、1つの間隔から始める
  2. その接触があった人となかった人で、再来店率を比べる
  3. 差が出たら回数を増やす。差が出なければ内容を変える(回数を増やす前に)

LINEで送る場合、接触回数はそのまま費用になる

LINEヤフーは通数のカウント方法を「メッセージを送った回数 × 送った友だちの数」と公表しています。接触を増やすほど、通数は掛け算で増えます。

友だち数月1回接触月3回接触収まるプラン(月3回の場合)
500人500通1,500通ライト(5,000通・月5,000円)
1,000人1,000通3,000通ライト(5,000通・月5,000円)
3,000人3,000通9,000通スタンダード(30,000通・月15,000円)

料金は2026-08-27時点の公表値(税別)。追加メッセージは配信数によって単価が異なり、2026年10月1日に改定が予定されています。

接触の回数を決める前に、通数がプランに収まるかを計算してください。 途中でプランを変えると、その月の予算が崩れます。

配信の書き方、特に「読ませたい内容」と「押してほしいリンク」を分ける方法は「追伸」を2通目に送る配信テクニックにまとめています。

打ち手3: 「選ばれ続ける理由」を伝え続ける

客は他に移ります。だから自店を選ぶ理由を、1回ではなく継続して伝えることになります。

ここで「他社と比べて優れている点をアピールし続ける」という言い方がよくされます。方向は合っていますが、言い方を間違えると景品表示法に触れます。

消費者庁は不当表示として次を挙げています(表示規制の概要)。

  • 優良誤認表示: 事実に相違して、競争業者のものより著しく優良であると示す表示
    • 例として「この技術を用いた商品は日本で当社のものだけ」と表示していたが、実際は競争業者も同じ技術の商品を販売していた、というケースが挙げられています
  • 有利誤認表示: 競争業者のものより取引条件が著しく有利であると誤認される表示
    • 例として「他社商品の2倍の内容量です」と表示していたが、実際は他社と同程度だった、というケースが挙げられています

資料がなくても言えること

比較の形を取らなければ、根拠資料の問題は起きません。伝え方を変えます。

避ける言い方代わりの言い方
他社より効果が高いこの施術は◯回で△△をする内容です(自店の内容を書く)
業界最安値当店の料金は◯◯円です。追加費用は△△のときだけかかります
どこよりも早いご予約から最短◯日でご案内しています
日本で当社だけ当店が力を入れているのは◯◯です

左は根拠資料を求められる可能性があり、右は自店の事実を述べているだけです。

「他と比べてどうか」ではなく**「うちはこうです」** と書けば、伝わる情報量は変わらず、根拠資料の問題も起きません。加えて、どういう人に向いているかを書くと、合わない客を無理に引き止めずに済みます。

満足度は「集客の指標」ではなく「探す道具」

ここまでを踏まえると、満足度調査の使いどころが変わります。

  • 使えない: 満足度が上がったから客が増える、という因果として使う
  • 使える: 満足度が高い人=口コミや紹介を相談できる人を特定するために使う

満足度は結果を示す数字ではなく、次の相手を見つける道具として使います。

3つの打ち手の確認項目

満足の先にやること
  • 口コミの依頼を、来店客全員に同じ方法でしている(特典と引き換えにしていない)
  • 口コミ投稿のURL・QRコードを用意し、投稿の手間を減らしている
  • 届いた口コミに返信している
  • 再接触の間隔を1つ決めて、接触ありとなしで再来店率を比べている
  • LINEの場合、接触回数×友だち数がプランに収まるか計算した
  • 他社比較の表現を使う場合、根拠資料を出せる状態にしている
  • 比較でなく「自店はこうです」「こういう人に向いています」の形で書けている

次にやること

今日できるのは1つです。口コミ投稿のURLを取得して、QRコードにして店頭に置いてください。 これだけで「頼まないと起きない」の1つ目が動き出します。

そのうえで、3つの打ち手はどれも続けた分がそのまま積み上がります。口コミの依頼と返信、決めた間隔での再接触、選ばれる理由の発信。どれも1回で終わる施策ではなく、月を重ねるほど効いてくる種類のものです。

当社のラクらくLINEは、再接触の配信と通数の管理を止めずに回すために、口コミロボは口コミの依頼と返信を1つの画面で続けるために作っています。どちらも「決めたことを続ける」ところを引き受けます。